連続ドラマ『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ)が芳根京子さん主演でオンエアされています。“チザイブ”、つまり知的財産部に配属された主人公が、聞きなれない専門用語が飛び交うなか奮闘するストーリーです。
知的財産と聞くといかにも難しそうなテーマですが、ドラマを見ていると、意外と私たちの生活に身近な存在なんだなと感じられるのではないでしょうか。今回は、知的財産に関連して知っておくべき英単語についてご紹介しましょう。
知的財産とは?
知的財産は英語で“intellectual property” 。一言で表すと、「人が創作活動によって作り上げた成果物」です。例を挙げると、
invention(発明)
design(デザイン)
logo(ロゴ)
cultural creations(文化的創作物)
database(データベース)
などです。これらは人の知的活動によって生み出されたものであり、創作者の財産であるとされるのです 。
▶︎Keywords
知的財産: intellectual property
発明:invention
「パクる」のはなんでダメなの?
「コロンブスの卵」という話がある通り、アイデアは思いつくよりimitate(真似する)する方がはるかに簡単です。intellectual property(知的財産)を創作するのは知恵と時間を要します。創作者が作り上げた成果である知的財産を他人がパクることが許されてしまうと、努力して作るよりも誰かが作ったものを真似した方がラクで効率が良いと考えるようになってしまい、創作意欲が失われてしまいますよね。このため、完成した知的財産をintellectual property right(知的財産権)として法的にinfringement(侵害)から守っているのです。
では、具体的にどのような知的財産が、どのような知的財産権で守られるのか見ていきましょう。
▶︎Keywords
知的財産権:intellectual property right
真似する:imitate
侵害::infringement
発明は「特許権」で守られる
発明と聞くと、
・エジソンの白熱電球
・ワットの蒸気機関車
などが思い浮かぶのではないでしょうか。
いずれも科学技術を応用して作り出されたものです。発明は技術を利用する創作で、“patent”(特許権)によってprotect(保護)されます。特許権はpatent office(特許庁)にapply(申請)してexamination(審査)を経てregistration(登録)されると効力が生じます。
よく見かける「特許出願中」というのは、申請して審査を受けているところ、という意味なのですね。duration of protection(権利期間)は日本では出願から20年と定められています。
◎ Intellectual Property Tips
医薬品は、権利期間について5年間の延長が認められる場合があるんですよ。薬は新薬が完成しても、厚生労働省による販売の認可が出るまで長い時間がかかり、せっかく登録された特許権を使うことができない期間が生じてしまうので、その期間を補うためです。
▶︎Keywords
保護:protect
出願する:apply
特許庁:patent office
審査:examination
登録:registration
権利期間:duration of protection
デザインは「意匠権」で守られる
身の回りにはデザイン性があるものがたくさんありますよね。
クルマやバイクのデザイン
衣服のデザイン
家具やカーテンのデザイン
これらのようなデザインは「意匠権」によって保護されます。意匠とはデザインのことで、英語だと、“industrial design”です。意匠権も特許庁に申請して審査を経て登録されると効力を生じます。ただし、保護対象となるには「量産される製品のデザイン」であることが条件で、いわゆる一点ものの建築物やモニュメントなどは保護対象とはならないのです。それは、industrial products(工業製品)を量産するデザイン産業の保護が意匠権の目的とされているからです。権利期間は日本では出願から25年と定められています。
◎ Intellectual Property Tips
スマートフォンの意匠権をめぐって、Appleとサムスンが、2012年から7年間にもにわたって争った訴訟がありました。意匠権が企業にとっていかに大事な権利かを垣間見ることができますね。
▶︎Keywords
意匠:industrial design
工業製品:industrial products
ロゴやブランド名は「商標権」で守られる
企業のロゴや製品のブランド名もデザインと同様で身の回りに溢れています。企業のロゴや製品のブランド名には、その企業や製品のこれまでの信頼が集約されています。例えば……
トヨタのロゴを見ると→「良いクルマ」「高品質」などをイメージ
「iPhone」と聞くと→スタイリッシュで快適な使い心地をイメージ
「コカ・コーラ」と聞くと→万国共通のあの味をイメージ
できるのではないでしょうか。
このようなロゴやブランド名は“trademark”(商標権)によって保護されます。権利期間は最低でも7年とinternational agreement(国際協定)で決められており、日本では10年です。
◎ Intellectual Property Tips
企業が存続する限りロゴやブランド名の保護は必要なので、権利終了前の更新を何度でも行うことができるんですよ。
▶︎Keywords
商標権:trademark
国際協定:international agreement
文化的創作物は「著作権」で守られる
皆さんの普段の生活のなかで一番身近なのは、“copyright”(著作権)かもしれませんね。ここまでに紹介した特許権、意匠権、商標権が「産業の発展」のために保護されるのに対して、著作権は「文化の発展」を目的としていて、文学作品や音楽、美術作品などの創作物を権利として保護します。
また、特許権、意匠権、商標権が特許庁への登録により発効するのに対して、著作権は登録が不要で、創作物が完成した瞬間にentry into force(権利が発生)するのが大きな特徴です。権利期間は日本では創作者の死後70年と定められています。
◎ Intellectual Property Tips
お絵描きしている子どもが絵を完成させれば、その時点でその絵の著作権がその子どもに発生するということになるんですよ。
▶︎Keywords
著作権:copyright
発効:entry into force
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