日本人の英語学習における悩みとしてよく聞くのが「発音」。「なぜ英語の発音はこんなに難しいの?」「なぜ英語ネイティブは早口言葉のようなセリフをスラスラと発音できるの?」と嘆いていても仕方がありません。「話して通じる英語」を身に着けたいなら、やはり避けて通れない山の1つが「発音」です。
「発音」に関するお悩みでよく聞くのが「LとRの違いが……」とか「thが難しくて」といったもの。でも、実はもっと大事なことがあります。
それが「強弱」なんです! 抑揚とも言いますが、どの部分を強く言って、どの部分を弱く言うか。「強弱」を制すれば、発音の問題の半分は制したようなもの! 今回は「強弱」について掘り下げてご紹介します。
受験勉強で一番軽視していたものが実は一番大事だった
よく学校の英語の試験で「最も強く発音する部分を答えなさい」という問題がありますよね。「どれもそれっぽく聞こえるし……ちょっとぐらい違ってても通じるでしょ?」と思っていた人、少なくないのでは……?
確かに日本語では、
えいが
と言おうが、
えいが
と言おうが、「出身地の言い方なのかな?」と思うくらいですよね。ところが英語では、一番強く発音する部分=ストレス(強勢)が違うとなかなか通じないんです。
例えば、「McDonald’s」と言うときに、
マクドナルド
マクドナルド
マクドナルド
では、分かってもらえないかも。正しくは「マクドナルド」だからです。
孫正義氏に見る、「完璧な発音でなくても通じる英語」
ソフトバンクグループ社長の孫正義氏は、海外メディアのインタビューを受けたり、英語での発信を行ったりしていますが、完璧な発音かと言えばそうとも限りません。
しかし非常にスムーズにコミュニケーションができています。その理由の1つが、強弱、つまり抑揚をきちんとできているから。
こちらの動画では、デイビッド・ルベンシュタインというアメリカの著名な投資家が、孫正義氏にインタビューしていますが、やりとりはスムーズで、孫氏のジョークにすぐさま観客から笑いが起こっています。
「強く発音するのは母音の部分」と心得よ
では、強弱を習得するにはどうしたらいいのでしょうか? 辞書に書かれている発音記号のなかで「‘」で示されているところが、一番強く発音する部分で、そこを強調して発音するのが基本です。とはいえ、発音記号をいちいちチェックするのは大変!ですよね。
ですので、もう少し簡単な方法をお伝えしますと、「強く発音するのは母音の部分」です。母音が1つしか入っていない単語であれば、そこを強く発音します。
what
think
great
であれば、以下の部分にしか母音の音がないので、そこだけを強調して発音します。
wh[a]t
th[i]nk
gr[ea]t
母音が複数入っている場合は、母音ごとの固まりに分けます。
例えば「wonderful」だと、「won-der-ful」と分けられ、1番目の部分を強く言うので
ワンダフル
という発音になります。
分け方に自信がない場合は辞書で確認してみましょう。例えば、LONGMAN英和辞書で「beautiful」を調べると、「beau・ti・ful」と点で分けられています。そして発音記号を見ると、3つの固まりの最初の部分に「‘」のマークがありますから、「ビュー」を強く発音すると分かります。
大まかな傾向としては、最初か2番めなど、前の方を強く言うことが多いです。
洋楽を聞いたり、海外ドラマなどを見たりするときなどにも、ぜひ抑揚によ〜く注意を向けて聞いてみてくださいね。強く言われているところが必ずあります。
「大げさ過ぎる」ぐらいでちょうどいい
強弱のコツは、一番強く言うところを、「え、そんなに!?」というくらい強調して、ほかは軽〜く発音すること。軽く発音するところは、ほんの付け足しぐらいの気持ちでも大丈夫。要は、思いっきり強弱をつけて発音する、ということです。
例えば、I think that’s wonderful.という文なら、
アイ スィンク ザッツ ワンダフル
という発音ではなく、
アイ スィンク ザッツ ワンダフル
という大げさなくらいの強弱をつける。
日本人からすると「ちょっと大げさかな?」「わざとらしい?」くらいでちょうどいい感じ。こうすることで、英語独特のリズムを体得できます。それはリスニングにも活きてきます。自分で発音できる音は聞き取りやすくなるからです。
オンライン英会話Camblyの講師と話すときも、強弱、抑揚をぜひ意識してみてくださいね! 講師に発音を直してもらいたい場合は、以下のように伝えるといいですよ。
Would you correct my pronunciation?
私の発音を直していただけますか?
英語学習は筋トレに似ているとよく言われますが、特に発音やスピーキングは実践あるのみ。どんどん口に出して、慣れていってください。